西条自然学校第102回目は「知られざる微小貝類」のお話です。
講師は徳島県立佐那河内いきものふれあいの里 ネイチャーセンター
専門研究員の松田春菜さん。
寄生性の巻貝についての研究をされていた方で、
徳島県阿南市で直径約3.5ミリの小さな新種のカタツムリを発見された方の一人です。
カタツムリは陸に住む貝の仲間で、
木の幹や落葉の中、礫の中、倒木の下、葉の裏…など
しめった薄暗い谷間を好むので、神社を探すとよく見つかるそうです。
(ただ、こういった場所は蛇も好む場所なので、探すときは注意…!)
さらに、形、色彩、大きさの多様性があり、
実はとっても魅力的な生き物だということを教えていただきました。
日本最大のアワマイマイはなんと殻径が約6cmもあります。
一方で、小さいカタツムリは3mm-5mmほどの大きさ。
そのため、採集時は地面に寝そべって落葉を1枚1枚めくって探すそうなのですが、
とても小さいので、見つけるのは大変で半日くらい探すこともあるそうです。
ちなみに、愛媛県にカタツムリは約171種いて、これは非常に多い種数だそうです。
シロハダギセル(キセルの形に似ている)やタカシマゴマガイは
愛媛だけに生息するもので、このようなご当地カタツムリ探しも面白いんだとか。
ご当地カタツムリ探し、楽しそう~!
そして、メインである新種のカタツムリ「アナンムシオイガイ」のお話へ。
アナンムシオイガイはムシオイガイ類の一種で、
最近になってDNA鑑定により新種であることが判明したカタツムリの仲間です。
実は新種と判明されるまでには長い時間と多くの人の関わりがありました。
1971年に初めて発見されたのですが、他に似ている貝も多く
この時には新種にはなりませんでした。
2007年に再び発見され、同定に依頼。
2010年にムシオイガイ類のプロがそれを見て新種かな?と思い、
2011年にDNA解析が行われて、新種の可能性が高いと判定されました。
しかし、DNAの解析だけでは新種とは決定されなかったため、
殻を観察することによって、特徴が異なることを明らかにし
論文にして発表。今回新種として決定されたそうです。
この貝は、徳島県阿南市の石灰岩地帯の一部約2km圏内だけに生息するため
アナンムシオイガイと名付けられました。
松田さんは、気が付かなければ消えてしまうかもしれない生物に
ただの落葉の塊もよく見てみるとカタツムリがたくさん潜んでいる!と
まだまだ新種が見つかる可能性があること、
カタツムリを見つける楽しさを教えてくださいました。
実は私、カタツムリがちょっと苦手だったのですが
この講義を聴くことで、落葉の中を探してみようかなという気持ちになれました。
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次回 西条自然学校★夜の学校★その103
「ヤマアカガエル」のお話
日時:平成25年4月17日(水)19:00~20:00
場所:西条総合文化会館2F 視聴覚室
*受講料 一人100円 (施設使用料)
*申し込み不要
*お茶とお菓子があります。コップをご持参ください
*問い合わせ 080-5667-5314(西条自然学校)
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